"Jag vill att män som
åker till Östeuropa
och Thailand och betalar för att
ligga med tjejer ser filmen.
Att de ångrar sig och skäms."


「東欧やタイに行って女の子と寝るために
 金を払う男たちにこの映画を観てもらいたい。
 後悔して恥ずかしいと思ってほしい」


Lukas Moodysson[ルーカス・ムーディソン]は、1969年1月17日生まれ、南スウェーデンの都市マルメ在住の34歳。1998年、29歳のときに撮った初の長編映画「ショー・ミー・ラヴ(原題:Fucking Åmål )」で一躍注目を浴び、スウェーデンを代表する若手監督とよばれるようになるものの、17歳で詩集を出版、20歳で初の小説を発表するなど、早くからその才能をその多岐におよぶ活動で発揮しているひと、であります。

ストックホルムのDramatiska Institutetで映画を学び、何本かの短編を撮った後(ミュージックビデオも撮っている模様)、1998年に自ら脚本も手がけた「ショー・ミー・ラヴ」を製作。この作品は、国内はもちろん、海外でも高く評価され、同時に観客も大量に動員する大ヒット作となりました。放送コードにひっかかるからかどうなのか、「ショー・ミー・ラヴ」という英題に変えられて海外に送られることになったこの作品の原題は、「くそったれオーモール」。「オーモール」というのは、主人公たちの住む南西スウェーデンの小さな町の名で、エリンが劇中でこう叫ぶ場面も。なんで英題がこうも変わるのかな、と思っていたのですが、エンドロールで流れる歌が「show me love」というものだから、だそう。

わたしはスウェーデン滞在中に「スウェーデンの若者は、みんな1回はこの映画を観てるよ!」と、若者からだけでなく年配者からも何度も言われましたが、スウェーデンの片田舎、つまりどこにでもある町の、どこにでもいる女の子たちの、おかしくも精一杯なもがきと飛び立ちの物語は、きっと誰もが共感できるもので、それなのにそんな作品はいままでにないものだったから、こんなにも多くの人をひきつけたのだろうと思います。日本でも、「スウィディッシュ・ポップ」ブームの波に乗ってか乗らずか、やっぱり「ショー・ミー・ラヴ」というなんともいえないタイトルのもと、単館系で公開され、人気を呼びました。DVDもパイオニアから発売になっています。

2000年には2作目「TOGETHER(原題:Tillsammans)」が公開されました。前作は現代の10代を描いたものでしたが、こちらはフランコ将軍の亡くなった(というエピソードが冒頭に出てくるのです)1975年を舞台に、コレクティブハウスで共同生活をするいわゆる「ヒッピー」の人々と、そこに転がりこむことになってしまった家族のお話。公開時のコピーは「独りで食べるステーキよりも みんなで食べるおかゆ」というものでした。ABBAの曲がところどころでピリっときいていたのも印象的なこの作品も、国内ではまたもロングラン、国外でも大ヒットとなりました。特に英国や米国では「ショー・ミー・ラヴ」よりもこちらの方でムーディソンの知名度は上がったようです。釜山映画祭でも公開されましたが、なぜか日本では未公開のままです。

その間にも、詩集などもコンスタントに発表したり、テレビの作品を手がけたり、他監督の作品をプロデュースしたりと精力的に活動。2002年春には、「2001年9月11日以降に書いた詩のみを集めた」作品集も発表しています。もともと「政治的な発言」をすることでも有名だったようですが、2002年夏に、社会の現状に真正面から取り組み批判した作品「Lilja 4-ever」を発表、その強い政治意識を映画というかたちで表現することに成功した、といえるのではないかと思います。